JT(日本たばこ産業)株が減配しない3つの理由

日本株を代表する高配当株の王様とも言えるJT(日本たばこ産業)。
100株で年間15,400円の配当金です。私は700株保有しているので年間107,800円の配当金が振り込まれます。

すべての株をNISA口座で保有しており、非課税となるため、107,800円がそのまま手元に残ることになります。

JT株が減配しない3つの理由

JTは配当性向が95.5%と高く、ESG投資の観点から機関投資家を中心に投資対象外となるリスク、業績の頭打ちなどから、減配を心配する声の方が大きです。それでも、JTが減配しないと思う3つの理由について、お伝えしたいと思います。

1.日本政府の財源(国家予算)

最大の理由はJTの配当が日本政府の財源(国家予算)となっているためです。

実は、JTの筆頭株主は日本政府(財務大臣)なのです。その理由については後述します。

なので、JTの配当は日本政府が受け取っています。受け取る配当金は約1,000億円です。約1,000億円もの配当金は「財政投融資特別会計」として、極端な話、自由に使えます。通常の「一般会計」は国会で予算審議を経て決定されます(よく国会中継で野党が野次を飛ばしてニュースになるやつ)。しかし、特別会計は国会の最終議決は必要なものの、ほとんど審議の対象にはなりません。

2.法律で日本政府が1/3以上の保有義務

JTの筆頭株主がなぜ、日本政府なのか?それは、日本たばこ産業株式会社法(通称)JT法の第2条で日本政府の保有割合が1/3以上と決まっているからです。現在の日本政府の保有割合は33.35%です。(2020/9/30現在)

政府は、常時、日本たばこ産業株式会社(以下「会社」という。)が発行している株式(株主総会において決議することができる事項の全部について議決権を行使することができないものと定められた種類の株式を除く。以下この項において同じ。)の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならない。


筆頭株主で3/1以上の議決権を保有しているため、財務大臣の認可が事あるごとに必要です。

JTは財務大臣の認可なくタバコ事業以外の事業を営むことはできないことになっている(第5条の2)。また、取締役や執行役、監査役の選任や解任(第7条)、定款の変更(第8条)、年度ごとの事業計画(第9条)など、ことごとく財務大臣の認可が必要だ。
(出展)https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20200413-00173068/

過去には、東日本大震災の特別措置法で、政府が保有していたJT株の保有割合を1/2以上から、1/3以上とし、JT株の売却益約9,734億円を復興財源に充てたことがありました。しかし、これ以上の売却には法改正が必要です。中毒性の高いタバコ事業の議決権を民営に完全に委ね、財務省の天下り先(JTの会長は財務省出身)を自ら失うことはしないと考えています。あるとすれば、菅総理がESGの観点から、政権の目玉として、民営化を掲げることだと思います。(小泉元総理の郵政民営化の時のようなイメージ。)

3.海外の競合他社が減配しない

JTは日本たばこ産業という名前ですが、日本より海外でのタバコ売上げ高の方が大きいです。2019年度実績で、日本6,115億円に対し、海外13,109億円です。2019年の通期決算説明資料では、海外たばこ事業に特化したIR資料を作成しています。また、外国法人の株主比率は21.85%と、外国人投資家の目は無視できません。主戦場は日本でなく、海外です。

そうなると、外国人投資家がJTと比較対象にするのは海外タバコ事業会社です。具体的には、MO(アルトリアグループ)やPM(フィリップモリスインターナショナル)、BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)です。海外たばこ事業会社はこれまで1度も減配をしていません。それどころか、PM(フィリップモリス)は9年、BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)は19年、MO(アルトリア)は50年以上も連続増配しています。JTも16年増配していましたが、ストップしてしまいました。

JT株のリスク

ESG投資リスク

では、JT株にはリスクがないのか?と言えば、そんなことはありません。最近話題のESG投資はJTにとって、向かい風です。

ESG投資とは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の英語の頭文字を取り、これらも考慮した投資をしようという動きです。

具体的には、環境(Environment):地球温暖化等の環境問題に配慮したり、社会(Social):ダイバーシティや女性の活躍、企業統治(Governance):外部取締役の人数などです。

たばこは健康上のリスクがあるので、ESG投資では厳しい目を向けられます。ただ、私としてはチャンスだと捉えています。ESG投資が世間から注目されればされる程、機関投資家はJTを買えず、売ります。そうすると、株価は下がりますが、配当利回りは上がります。一方で、たばこを吸う人がESGを気にしてたばこを止めるのか?と言えば、止めません。(いや、多くの人が止めれませんw)。世間体を気にせず、個人投資家は自分で投資判断をすればいいのです。

補足しておくと、JTがESGを無視している訳ではなく、むしろ凄く気にしています。Webサイトにも「サスティナビリティ」というページを作り、その取り組みや社外からの評価を積極的にアピールしています。

訴訟リスク

JTをはじめ、世界のタバコ会社は数多くの訴訟を抱えています。
2019年3月には、カナダ・ケベック州控訴裁判所から損害賠償の請求がありました(現地時間2019/3/1)。その金額、約1,480億円です。恐らく、上控するでしょう。

訴訟はタバコ会社の宿命とも言え、避けて通れないです。
しかし、そのリスクゆえに割安な状態なのがタバコ株です。結果として、長期的に高パフォーマンスを叩きだしてきました。

詳しくはこちらの「株式投資の未来」をご覧ください。

株式投資をする上で欠かせない名著です。

私もタバコ株なんて、手を出さない…と思っていましたが、この本を読んで魅力に気づきました。

まだ読んだことがない人は、是非読んでみてください!

高い配当性向

2020/7/31に第二四半期の決算発表を行いました。

そこで、配当額はキープしたものの、売上収益の下方修正に伴い、フリーキャッシュフロー(FCF)予想を大幅に減らしました。

フリーキャッシュフローの低下に伴い、配当性向は95%まで上がりました。余剰金の95%を配当の支払いにあて、企業の手元に残るのは5%となります。

しかし、配当金の支払いは2,730億円のため、3,500億円 – 2,730億円 = 770億円が手元に残る計算となります。5%とは言え、770億円もの莫大な金額が手元に残るのはさすが、JTです!

とは言え、今後の為替動向や国内外含めたたばこの売上げには注意が必要です。

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Posted by hirokiti